だって、だってなんだもん。

愛がなくても始まるのに、愛がないと続かない

なにわ男子を泣かせたい

 

※すべてフィクションです。

 

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2019年11月14日、なにわ男子FirstLiveTour〜なにわと一緒に#アオハルしよ?〜初日公演。彼らはこの日、静かなる闘志を緊張の面持ちで迎えていた。

彼らが拠点とする大阪から神奈川へ、リハーサルのために前日入りしていた。10月中旬、彼らはこのコンサートと平行して、大阪万博記念公園にて行われる予定だった自身初の野外コンサートに向けて準備をしていたが、列島を猛威で襲った台風19号接近のため中止を余儀なくされた。その悔しさをバネに、ツアーのリハーサルはより力が入っていた。自身初の、自身の名前がタイトルについた単独コンサートが、実質、自身初のなにわ男子としてのライブとなった。

 

幼い頃から頭角を現し、関西ジャニーズJr.を先頭で引っ張ってきた、西畑大吾。Jr.として経験豊富な彼も、“自分のグループ”がメインとしてステージに立つのは初めてだ。

若干23歳にして芸歴は15年半という、“ベテラン”の最年長・藤原丈一郎も同じく、メンバーやバックにつく後輩と談笑しているが、どこか落ち着かない様子だ。

なにわ男子のリーダー・大橋和也は、リハーサルを終えて早々に準備し出したと思いきや、髪の毛のセットに時間がかかったり、直前にケータリングを覗いてニコニコつまみ食いしていた。ほんわかマイペースだ。

今回コンサートグッズの制作に関わった高校3年生の大西流星は、密着カメラマンにこう話した。『僕、自分が考えたグッズをファンの子たちが身に付けて僕たちを応援してる姿を見るのが夢のひとつだったんですよ。それが、グループ結成1年でこんなに早く叶うなんて思ってもみなかったですよ。嬉しいですね。早く開演しないかなぁ。楽しみです!』

キャリアは少ないながらもドラマや映画に少しずつ経験を積んでいる発展途上中の道枝駿佑。ひたすら鏡を気にして繰り返し振りの確認や歌詞の確認をしていた。メンバーの中では年下組だが、度胸の強さと真面目さは人一倍だ。

自称ナルシストの高橋恭平も、さすがナルシストのごとく鏡での自分のチェックに抜かりがない。この日、ツアー初日に合わせてファンを驚かそうと美容院で髪を染めたばかりだと言う。『いや〜染めちゃいましたよね〜(笑)。俺似合ってますっしょ?』大人びて見えるが、そんなところはまだまだ少年のようだ。

メンバー最年少の長尾謙杜は、今回コンサート衣装を手掛けた。『僕たちがかっこよく見えるものと、ファンのみんなが見たいなって思うような、僕たちらしい衣装を考えました。エヘヘ』緊張で震える手で、自分がデザインした衣装に腕を通して、ステージへ向かった。

 

この日、あの台風で頓挫した野外コンサートの未練を晴らすようなとても気持ちいい秋晴れだった。彼らと同じく、ファンたちもまた同じ面持ちで会場に集まった。ペンライトを光らせて、刻一刻と迫る開演時間を、モニターを見つめて待ちわびていた。

 

西畑がパーソナリティーを務めるラジオで決めたという、\なにわ!👏👏男子!👏👏/というコールは開演の10分前から響いていた。もちろん、スタンバイをしている彼らにも届いていた。

 

長尾『えっ待って!!めっちゃコール聞こえる!』

藤原『やばない!?すげぇ!!』

西畑『やっばー!俺もう泣きそうやねんけど(笑)』

大橋『早いわ大ちゃん(笑)』

大西『うわぁぁぁぁあ~!!』

高橋『・・・・・・・・・・・・(緊張)』

道枝『恭平!ほらそろそろ行くで!!』

 

 

客電が落ちた。

 

\キャーーーーーーーーーーーーーーー!!!!/

 

割れんばかりの歓声。この日を、この時を、なにわ男子とファンは待っていた。

 

ステージにスポットライトが降り、彼らの姿が見えるとさらに増えるファンの声。

そして、露になる自身のファンで埋め尽くされた客席。それは、今までの何倍も広く、眩しく、嬉しく、たまらなく嬉しく、彼らの顔は一瞬の間にたちまち驚きから嬉しさに変わり、今までの感情が溢れだしていた。

 

 

 

藤原『いや〜、あの景色は一生忘れないですね〜。…今まで見てきた景色の300倍ぐらい眩しかったです』

 

大橋『もうね!めっちゃ!すごかったんすよ!ね!ペンライトとか、僕たちに当たる照明とか、ファンの子の歓声が!イヤモニ片っ方あえて外してたんすけど、歓声のほうが大きすぎて歌い出し出トチりかけましたもん(笑)』

 

道枝『色とりどりのペンライトが目の前にパァッと広がって、夢みたいでしたね(笑)』

 

西畑『泣いてる子もめちゃくちゃ笑顔の子も、会場の皆の顔がすっごい良く見えて、しかもふいに“なにわ男子に会えて良かった”っていううちわが目に飛び込んできて、もうそっから涙ヤバかったっすね(笑)』

 

 

彼らの今までの頑張りの成果のひとつが、この景色だったのだろう。密着の中でメンバーが節々に語っていた、『グループになれた』という言葉。結成からわずか1年。グループとしてはまだまだこれからだろう。もちろん、この1年で、Jr.の仲間がデビュー発表をしたり、自身オリジナルの曲を作ってもらったり、悔しいも嬉しいも経験したが、一番の収穫は“グループとしての看板を背負う覚悟”なのだろう。

彼らには、彼らがいる。仲間がいる。そして、これほどのファンがいる。SixTONESSnowManのデビューについて『悔しい』と漏らした彼らの本音は、これからますますなにわ男子として加速するエンジンになるだろう。

 

 

意外にも、いちばん初めに顔を崩したのは、年下組ではなく、年長組の西畑と藤原だった。経験が多い分、その景色に思うところがたくさんあったのだろう。パートが多い西畑と、ハモりが多い藤原の分は、なにわ男子の歌唱を引っ張るリーダー大橋が目を潤ませながらハニカミ笑顔でフォローしていた。

 


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コンサート序盤で流した嬉し涙は、終盤では満面の笑顔と汗に変わっていた。西畑は、挨拶でこう話した。『皆さんとなら、僕らは頑張れます。なにわ男子に、着いてきてください。今日はありがとうございました!』

アンコール最後、手を繋いで『俺たちがー!なにわー!男子ー!』と叫んだ頃には、オープニングで必死に泣くのを我慢していた高橋の頬に涙が伝っていた。

 

 

道枝『めっちゃ楽しかったーーーー!!!』

長尾『今日たくさん歌ってたくさん踊ってたくさん泣いたからぐっすり寝れそう!!』

藤原『長尾、明日もライブあるんやからな!!(笑)』

高橋『こんなん回数重ねても感動大きすぎて持たんわ(笑)』

大橋『めっちゃお腹すいたーー!!プリンありますー?』

大西『僕も食べたーい!大橋くーん!』

藤原『・・・(頭抱)あんなんがリーダーですからねウチ(笑)』

西畑『(笑)。密着ありがとうございました!今度こそ!今度こそ密着されるときはデビューのときなんで!よろしくお願いします!(笑)』

 

 

 

 

 

 

なにわ男子の歩みは始まったばかりだ。